260年(文応元年) 7月16日は立正安国論を提出した日です。立正安国論は、国家の中心者が法華経を信受することで一国の安泰をはかり、ひいては世界平和へと導かれるものであり、世界各国の指導者に知っていただきたい究極の平和原理の書ということができます。
日蓮大聖人は駿河国(静岡県)岩本実相寺において一切経を閲読され、立正安国論を書き上げたのち、当時の鎌倉幕府の実質的な最高権力者である北条時頼に提出しました。御歳39才。
この実相寺では、のちの日興上人と劇的な出会いをされます。
安国論の「国」の字は、現代では国構えに「王」と書きますが、立正安国論では「民」の字が用いられてもいることから、より広い意味では「民衆」を指す言葉であるともとれます。まだ「国民主権」や「民主主義」の概念がなかった時代において先見の明であったといえます。
また本論では念仏批判が強調されていますが、現代においては意味合いが変化しており、私は時代性であると考えます。あくまで本論の趣意は、「人」、「国」、「法華経」の三者の関係性にあるのです。