ブッポウソウという鳥は、仏教寺院のある森林などで観察され
「ブッ・ポウ・ソウ(仏法僧)」と鳴くことから名付けられたそうで、
見た目も美しく鳴き声も趣のある霊鳥として知られてきました。
瑠璃色、青緑、黒が混じった光沢のあるきれいな鳥です。
しかしこの鳥の声を実際に聴くと、
「ゲゲッ・ゲゲッ」と鳴いてるように聞こえます。
(動画でお聴きください)
これはずっと長い間、「ブッポウソウ」という鳴き声の主は、
平安時代からこの瑠璃色の美しい鳥だとずっと信じられてきたのですが、
いくら観察しても「ゲゲゲッ」っとしか鳴かないので、
昼と夜とで鳴き声を変えてるのだろうか、などと思われていたのが、
昭和になってようやく「ブッポウソウ」という鳴き声の主は
別の鳥であることが判明したというのです。
その鳥の正体はコノハズクという「フクロウ」でした。
こちらもコノハズクの鳴き声が収録された貴重な動画です。
「ブッポウソウ」って聞こえるでしょうか?
いずれにしても、可愛らしい鳴き声ですね。
フクロウは夜行性なので気づかれなかったのでしょうか?
でも江戸時代にはちゃんと見抜いていた人もいて
コノハズクの姿で描かれた絵があるそうです。
こんな可愛らしいフクロウが鳴いて仏法を伝えてくれたら
さぞかし面白いだろうな、と想像していたところ、
哲学者ヘーゲルのある意味深な言葉を思い出しました。
「ミネルバのフクロウは、迫り来る黄昏に飛び立つ」
ミネルヴァとはローマ神話の知恵と芸術の象徴とされる女神で、
一つの時代が区切りをつけるにあたって
その肩に止まっているフクロウが
新たな時代の到来を告げるべく、飛び立つのだそうです。