「A CHANGE IS GONNA COME」Sam Cooke(1964)


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I was born by the river in a little tent
Oh and just like that river
I've been running ever since
It's been a long,A long time coming
But I know a change is gonna come,
Oh yes it will

俺は川のほとりの小さなテントで生まれたんだ
それからというもの、この川みたいに
ずっと走り続けてきたんだ
とても長い時間がかかったけど
俺にはわかる
きっと変化が訪れると
そう、必ず


It's been too hard living,But I'm afraid to die
’Cause I don't know what's up there beyond the sky
It's been a long, a long time coming
But I know a change is gonna come,
Oh yes it will

死ぬのは怖いけど、生きていくのも厳しい
空の向こうで何が起きているのか分からないから
とても長い時間がかかったけど
俺にはわかる
きっと変化が訪れるって
そう、必ず

 

I go to the movie and I go downtown
Somebody keep tellin’me don’t hang around
It's been a long, a long time coming
But I know a change is gonna come,
Oh yes it will

映画館に行っても、街に出かけても
俺に「うろうろするんじゃねえ」って誰かがいうんだ
とても長い時間がかかったけど
俺にはわかる
きっと変化が訪れると
そう、必ず

 

Then I go to my brother
And I say, brother, help me please
But he winds up knockin' me
Back down on my knees and oh

それで、兄弟のところに行き
助けてくれと頼んだが
奴は俺にひどい仕打ちをして
ひざまづかせようとする

 

There been times that I thought
I couldn't last for long
But now I think I'm able to carry on
It's been a long, a long time coming
But I know a change is gonna come,
Oh yes it will

もう長くはもたないって、何度も思ったよ 
でも今は、何とかやっていける気もする
とても長い時間がかかったけど
俺にはわかる
きっと変化が訪れると
そう、必ず

 

 

最近、絵を描きながらこれを聴いてます。(他にも色々聴いてます)

サム・クックの最高傑作といわれている曲で、1960年代の公民権運動の最中にボブ・ディランの「Blowin' In The Wind(風に吹かれて)」を聴いて感銘を受け、自身で作曲したそうです。

2005年には「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」で12位に選ばれた名曲で、アレサ・フランクリンやティナターナーなど多くのアーティストたちがカバーしていますが、私が聴いた中では原曲を超えるものはありませんでした。しかし残念なことに、この曲が発売された1964年12月には、彼はトラブルにより銃で撃たれ帰らぬ人となっていました。

 


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「Blowin' In The Wind(風に吹かれて)」について、wikipediaには以下の記述がありました。

 

<<1962年4月、グリニッジ・ヴィレッジのコーヒーハウス「ガスライト」の向かいにあった「コモンズ」で友人たちと長時間黒人の公民権運動について討論したはてに生まれ、「コモンズ」か「ファット・ブラック・プシーキャット」に座って数分で書き上げたと言われている。「10分で書いた。古い霊歌に言葉を当てはめたんだ。多分カーター・ファミリーのレコードか何かで覚えたものだと思う。これがフォーク・ミュージックのいつものやり方だ。すでに与えられているものを使うんだ。」とディラン本人は述べている。>>

 

しかし「風に吹かれて」は、黒人奴隷制度を嘆く「No More Auction Block」という曲に非常に似てるので、これがルーツだと思われます。ディランもこの曲を歌っています。

 

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1959年にディランは、両親の勧めでミネソタ大学に入学しますが、半年で通わなくなります。そして隣接するミネアポリスのディンキータウンでエレキギターアコースティックギターに買い替え、フォークソングに熱中していました。その頃レコード店で黒人フォーク歌手のアルバムを熱心に視聴していたというので、この時にオデッタの「No More Auction Block」を聴いて(もしくは残像を)アレンジしたのではないかと思います。

 

No more auction block for me     
No more, no more,          
No more auction block for me     
Many thousand gone.

 

もう競売台はたくさんだ

もうやめてくれ、もうやめてくれ

もう競売台はたくさんだ

何千もの人々(黒人)が連れて行かれた


歌詞の感じも何となく似てますね。

「Auction Block」(競売台)というのは、奴隷制度があった時代に黒人たちを乗せて売買されていた台(ブロック)のことで、現在もその忌まわしい記憶を風化させないために、バージニア州フレデリックスバーグに設置されています。

 

そもそもロック・アンド・ロールという概念自体が、黒人のリズム・アンド・ブルースに由来しており、まだ人種差別の色濃かった時代に言い換えられたものなのだそうです。エルヴィス・プレスリーも黒人教会に通って黒人音楽をよく聴いていたといい、それがロックスターとしての華々しいデビューを飾る礎となったともいわれます。

 

「風に吹かれて」が独創性の高い名曲であることは言うまでもないことですが、このように名曲がどのように創られたのか、背景やつながりを知り、あれこれと想像することも、音楽を聴く楽しみの一つだろうと思います。