カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(ドイツ、ロマン主義の画家)

ロマン主義とは
18世紀末から19世紀前半にヨーロッパの精神運動のひとつ。それまでの
理性偏重、合理主義などに対し感受性や主観に重きをおき、古典主義と対をなす。
恋愛賛美、民族意識の高揚、中世への憧憬といった特徴をもち、
近代国民国家形成を促進した。
文芸・美術・音楽・演劇などさまざまな芸術分野に及ぶ。

後にその反動として写実主義自然主義などをもたらした。

■カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
13歳の時、河でスケート遊びをしていたときに、氷が割れて溺れ、彼を助けようとした
一歳年下の弟・クリストファーが溺死してしまう。
このことで長年自責の念にかられ、うつ病を患い自殺未遂を起こしたこともあった。
その後、姉や母も亡くしたことが彼の画風や人格に大きく影響を与えたと言われている。


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雲海の上の旅人
人が描かれるときは、その人も作品に描かれた風景を鑑賞者と共に見つめるため、
背後からしか描かれないのが常である。

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エルデナ修道院
作者が頻繁に主題にした生まれ故郷グライフスヴァルトにある修道院
三十年戦争で破壊され廃墟と化している。19~20世紀にかけて修復された。



■カスパーの風景画の特徴
自然の風景、それも高みや遥か彼方を見据えるもの、廃墟になった僧院、
墓地、古代の巨石墓、槲の木などがよくモチーフとして取り上げられる。
夕暮れ時やひと気のない寂寥感漂う茫漠たる情景のものが多い。

しばしば人間がえがかれているがほとんどが後ろ姿や遠見の構図であり、
人間以外の生き物、例えば鳥や動物はほとんど見当たらない。

 

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氷の海
自然の冷酷さと死のイメージを重ね合わせている。
こちらは大地から何かが盛り上がったような力強い絵ですね。

 

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リューゲン島の白亜岩

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人生の諸階段
一番手前の老人が作者、向こうにいるのが甥と3人の子どもだそうです。
地平線に向かう五隻の船が人生の諸階段をあらわしているのでしょうか。
若くして家族を失った作者が年老いて、これから人生の諸階段を進みゆこうとする
うら若き家族へ温かな眼差しを向けているようにも見えます。


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ミミズクのいる風景
人間以外の生き物はえがかないのかと思っていたら、なぜかミミズクの絵があった
ミミズクは作家の心象風景にマッチしたのだろうか。やはり物悲しい風景となっている。

 

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肖像画